“役立たず”から 豚1000頭分のワクチン
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NHK
2019.05.29 UPDATE

「世界でここにしかいない」という生き物が福岡県の九州大学にいます。「種の保存」だけを目的に育てられ、何の役にも立たないと思われてきました。でも、実は人や動物の命を感染症から救うかもしれないということが分かってきたのです。
さて、その生き物とはなんでしょう?(サムネイル画像でもうおわかりだとは思いますが)
九州大学で種の保存の目的で育てられ、何も役に立たないと思われていた蚕ですが、ワクチン生産に必要な特定のタンパク質を大量に生産できる種類がいることがわかり、期待が寄せられているという記事です。
九州大学では種の保存のためになんと100年間も450種類以上の蚕が育てられてきたそうです。ただ育てられてきただけとはいえ、育てるには餌や管理にお金が必要です。こういった資金は「役に立たない」と研究費が出ないことも多く、研究費の捻出に頭を悩ませていたそうです。
結びにもありますが、大学で連綿と続けられている基礎研究は、ビジネスに結び付けることができるか否かだけで、その重要性を評価できるものではありません。昨今の大学改革などでは、実用面が重視されています。しかしながら、このケースが示すとおり、「今」役に立つ研究ばかりに注目しているだけでは、その先10年、20年、もっといえば100年先の研究成果の芽が潰されてしまう可能性もあるのです。確かに税金を使っての研究は役立つことも大事ですが、その「役に立つ」のはどういう意味なのか。「今」役に立つだけでいいのか。しっかりと考えなければならないと思います。
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