千葉市立海浜病院:心臓血管外科で患者7人が手術後に死亡

病気・医療

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favicons?domain=mainichi 毎日新聞 2015.07.08 UPDATE

(2015年7月4日 毎日新聞より) 千葉市美浜区の市立海浜病院(太枝(おおえだ)良夫院長)の心臓血管外科で、4~6月に手術を受けた患者7人が死亡した。病院への取材でわかった。病院は患者に負担の大きい心臓・血管系の外科手術を中止し、7日以降に調査検討委員会を設けて詳しく調べる。  病院によると、死亡した患者は55~70歳の男性3人と71~79歳の女性4人で、手術の翌日~20日後に死亡した。執刀医は男性医師2人だった。太枝院長が6月30日、市の担当部局に報告した。

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坪谷透

東北大学大学院歯学研究科 助教、博士(医学)、医師

記事によれば、以下の通りとのことです。

”千葉市美浜区の市立海浜病院(太枝良夫院長)の心臓血管外科で4〜6月、患者7人が手術を受けた後に死亡していたことが分かった。短期間に多くの死亡者が出ていることから、同病院は7日にも院内に調査検討委員会を設置し、医療過誤がなかったか調べる。
 病院によると、入院していた50〜70代の男女7人が手術から1〜20日後に死亡した。執刀医は2人だった。”

最近こういうニュース多いですね。
こういうニュースはどう考えられるべきでしょうか?
以下は、この病院についてのことを言っているのではなく一般論です&私見です。

まず、事実としては、人の死亡率は100%です、いつか人は確実に死にます(現在の理解では)。
また、病院とは、残念ながら人がなくなる可能性が高いところである、ということがあります。なぜなら死亡する確率が高い人が集積しているからです。
医療行為とはそれを何とかして止めようとする行為です。しかし100%は成功しません。

何を言いたいかと言えば、「病院で人が●●人亡くなった、ということだけでは、それについて外的に評価することは極めて難しい」ということです。
こういうニュースを見ると、その病院に不信感を持つ人もいるかもしれません。
しかし同時に考えた方がいいと思うのは、「このようなことを公表しているだけましなんじゃないか?」ということです。
もっとひどいところは何かあっても公表しないでしょう。
内部の職員もちょっとおかしいと思っても、内部告発により騒ぎになり自分の病院が倒産し失職することは嫌でしょう。そういうメディア対応をしたいという職員もいないでしょう。
つまり内部の告発が積極的になされる構図ではありません。
しかし、大学病院や公的病院は、ほぼ倒産することは無いでしょうし、評価が一時的に下がっても、おそらくまもなく回復するでしょう。
その内部の人も、病院の倒産やクビになることはあまり恐れず内部告発できるかもしれません。
また、大学や公的病院の職員の方が、医療の質に対する意識は高いような気がします。
それ以外の医療機関(私立の病院や個人診療所)では、内部告発することは非常に難しい気がします。現にニュースにあがるのは、大きな病院(大学、公的)ばかりではないでしょうか?

とはいうものの、この千葉の病院に限らず、全ての中核的な病院の「成績」は、一定の方法で評価されるべきでしょうね。
具体的には、この病院のウェッブサイト(http://www.city.chiba.jp/byoin/kaihin/shinryou_shinzoukekkanka.html)にも書いてありますが、「一般社団法人National Clinical Database(以下、NCD)」を使って、患者の状態(年齢、性別、疾患の重症度、合併症)を考慮して、全国の中核病院の成績を評価するということです。

このような検討には、疫学(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%96%AB%E5%AD%A6)と統計学を組み合わせた臨床疫学研究が必要ですが、残念ながら日本は、諸外国に比べると、この学問が極めて立ち遅れています。かなりやばいです。
http://blog.goo.ne.jp/toyodang/e/12d49cfdffc5ab6bd5ee3c3156eec890

日本学術会も長年それを指摘し続けていますが、諸外国との格差は埋まる気配はありません。
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-t133-8.pdf

このような研究の成果も立ち遅れていますし、研究が立ち遅れると、それを基にした科学的な政策決定が困難になります。
すると、一部の”偉い人”の感情・思い込み・一部の声の大きい人の意見などで政策が決定されてしまいます(それしか方法がない)。
このような方法は、決定プロセスが非常に不透明であるだけではなく、その判断が妥当であるか疑問が残ります。
今の時代、何事も数字で見える化して説明してウェッブでも公開して決定されるべき時代かなと思います。
国民の関心事である医療がブラックボックスで許される時代ではないと思います。

日本でも、疫学や公衆衛生大学院が国民の皆さんに認知されそのニーズが高まり、その専門家の養成も盛んになり、医療政策が一部の人の思い込みや意見に基づくのではなく、数字に基づいて行られるといいなと思います。

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